SDGsとフェアトレード~東京オリンピックの調達ルールにフェアトレードが

国立競技場 千駄ヶ谷門 @ PhotoAC 2venus2さん
東京オリンピック・パラリンピックが開催される国立競技場

日本には“三方よし”という言葉があります。

現代、売り手と買い手はもちろん、作り手(生産者)にとってもよい取引であることが求めらえています。

この“三方よし”は「フェアトレード」の概念にとてもよく似ていると思います。

東京オリンピックの農産物の調達基準の一つに

そんなフェアトレードの一つの基準である「国際フェアトレード認証」が、公益財団法人東京オリンピック・パラリンピック競技大会組織委員会が定める「持続可能性に配慮した農産物の調達基準」において、持続可能性に資する取組に基づいて生産され、トレーサビリティが確保された農産物の認証スキームとして選ばれました。

どういうことかと言うと、東京五輪は、SDGsの達成に寄与するよう大会を運営し、選手村の食堂や競技施設のフードコートなどで提供する食材を持続可能性に配慮しているか、「国際フェアトレード認証」などの基準で調達することが推奨されるということです。

2012年ロンドン大会から続く流れ

2012年に開催されたロンドン五輪は「世界初のサスティナブル大会」と呼ばれた、国際フェアトレード認証が調達基準として採用されました。これにより、選手村や食堂で国際フェアトレード認証のコーヒー約1,400万杯、紅茶約750万杯、バナナ1,000万本、ワイン220万本などが提供されたそうです。その後のイギリスのフェアトレード市場規模も約900億円から3倍の3,000億円にまで膨らんだそうです。

東京で開催されるオリンピック・パラリンピックでも、農産物の調達基準の一つに「国際フェアトレード認証」が採用されたことで、選手村や食堂、競技施設のフードコートなどで、提供される食材にフェアトレードのものが使われる可能性が高くなったというわけです。

フェアトレードとSDGsの関係

フェアトレードには、作り手の人権が尊重され、強制労働や児童労働の排除、公正な取引、環境保全への配慮など、SDGs(持続可能な開発目標)に関連した要素が多く盛り込まれています。SDGsは、企業や市民によるアクションだけでなく、五輪といったビッグイベントにも関与し、行政による公的な取り組みも進みつつあります。

スポーツの祭典であるオリンピック。出場選手が日々の研鑽を「フェアプレイ」の精神に則って披露するのと同じように、私たちも売り手や買い手はもちろん、作り手も含め、すべての人にとってフェアな買い物を心掛けていきたいですね。

そして同時に、東京オリンピックを取材し、報道するメディアが、競技結果やメダルの枚数だけでなく、こういった大会運営についても取材して、取り上げてもらえると嬉しいですね。