開発教育(Development Education)とは

2019/03/10

経済格差や紛争、地球環境の悪化、人権侵害や差別、エネルギー問題など、世界にはさまざまな問題・課題が山積みです。お金・モノ・人材・情報などが国や地域を超えてやりとりされるグローバル社会の現代、いま起こっているすべての問題を一つの国だけで解決することはできません。

開発教育とは、世界の問題・課題について知り、私たち一人ひとりができることを考え、よりよい地球社会を創るために自ら行動していくことを目指した教育活動です。

開発教育の推進、開発、普及に取り組む開発教育協会(DEAR)は、以下のように開発教育を説明しています。

開発教育は、私たちひとりひとりが、開発をめぐるさまざまな問題を理解し、望ましい開発のあり方を考え、共に生きることのできる公正で持続可能な地球社会づくりに参加することをねらいとした教育活動です。

開発教育とは | 開発教育協会(DEAR)

現在、自分と地域や世界とのつながりを認識し、地球社会づくりに参加するための教育活動として、学校や地域、市民の間で実践されています。

開発教育のはじまり

開発教育はもともと、開発途上国の状況を理解するための教育として1960年代に欧米で始まりました。当時、アジアやアフリカの多くの国々が貧困や飢餓に苦しんでいました。しかし、地理的に距離が離れ、海を越えた国への援助や支援の成果というものは見えにくく、援助のあり方を問題視されるようになりました。開発途上国が抱える問題の原因は何か、なぜ途上国と先進国の間で貧富の格差が広がるのか、といった問題意識がNGOの関係者や支援者などの間で広まります。

こうして、欧米のNGOは国内の市民に寄付や協力を呼びかけるだけでなく、問題の原因や解決策を考え、一人ひとりが問題解決に向けて行動していくことが大切であると考え、開発に関わる問題を考え、その解決を目指す開発教育が行われるようになったのです。

日本では、1970年代に開発教育が紹介され、1979年に「開発教育シンポジウム」が開催されたのをきっかけに開発教育の普及が進みました。1990年代には「地域の国際化」が提唱され、2002年からすべての公立学校で「総合的な学習の時間」が導入され、学校教育の中でも開発教育が展開されるようになりました。

開発教育はどのように行われているの?

開発教育は主に、参加型学習のワークショップ(Workshop)が活用されています。

ワークショップ(Workshop)はもともと「作業場・工場」という英単語で「複数人で一つのモノを作り上げていく場」のことを指します。参加者同士で交流しながら、互いの知識やアイディアを出し合い、新たな発見や学びを得る参加型の学習方法や場のことをワークショップと呼んでいます。

開発教育ワークショップの様子
意見やアイディアを付箋に書き出し整理するKJ法

開発教育におけるワークショップは、先生から生徒へ一方的に知識を伝える「つめこみ型」の授業ではなく、参加者が自ら主体的に参加し、自分の知識や意見を共有し合い、学び合う「双方向的」なスタイルが特徴です。

受動的な普通の授業と異なり、主体的に参加してもらうため、ディベートやロールプレイ、フォトランゲージ、ランキング、シュミレーションなど、参加型の手法が多く用いられています。

開発教育のワークショップで重要なファシリテーター
ファシリテーターは開発教育のワークショップにおいて重要な役割

開発教育におけるワークショップは、一方的に知識を伝えるのではなく、問題を提起し、議論の方向性や筋道を示し、参加者の学びを促す水先案内人として、ファシリテーターの役割を担う人が重要視されています。

開発教育に取り組む団体

1979年に開かれた「開発教育シンポジウム」を主催したのは、国際的なつながりを持ったYMCAやガールスカウトなどの青少年団体や、途上国での活動経験のある青年海外協力隊の帰国隊員、日本ユニセフ協会、国連広報センターなどでした。このシンポジウムに関わった団体や人々を中心に、1982年に開発教育協議会(現在の開発教育協会:DEAR)が誕生しました。 

その後も、JICA(国際協力機構)やNGOなどの団体が開発教育に取り組んでいます。

開発教育に取り組み、開発教育に関する相談や講師派遣、教材・資料の開発/販売を行っている団体は、開発教育協会(DEAR)のDEARプラットフォームで紹介されてます。

開発教育について学べる本

SDGsと開発教育:持続可能な開発目標ための学び

開発教育の歴史や内容と、開発教育で学ぶ開発課題とSDGs(持続可能な開発目標)の関連性が学べる一冊です。

ワークショップ版 世界がもし100人の村だったら

代表的な開発教育のワークショップ教材の一つ。「世界がもし100人の村だったら」を題材に、世界の格差や多様性を体感するワークショップができます。

※開発教育協会(DEAR)が出版している教材は、Amazonのみで購入できます。

開発教育基本アクティビティ集

「いきなりワークショップをやるのは、ちょっとハードル高いかも・・・」という方は、参加型学習の基本的なアクティビティからはじめてみるのはいかがでしょうか。

インターネットが普及した現代、知識量よりも、原因や解決策を見つけて行動していく力が求められています。開発教育は、論理的思考や国際的視野を持ち、課題解決力と行動力を発揮できるグローバル人材の育成にも通ずるところがあると思います。解決が難しい国際協力の問題だからこそ「べき論」に固執せず、互いの知識や意見を共有し、学び合う開発教育にぜひ触れて、新しい発見と行動を起こしていただけると幸いです。

この記事を書いた人
メッスィ~/召田 安宏

1984年生まれ。長野県に多い苗字だけど東京都出身。学生の頃にNGOと出会い、NGOの広報担当を10年以上経験。ボランティアや国際協力に関する話題、広報の仕事に役立つサービスやフリーソフトを調べるのが好き。詳しいプロフィールはこちらをご覧ください。