中村哲さんのアフガニスタンでの活動をまとめた書籍6選

アフガニスタン地図・黒板

2019年12月4日、アフガニスタンで中村哲さんが銃で撃たれて亡くなりました。

長年、アフガニスタンで人道支援に取り組んできたNGO「ペシャワール会」(事務局・福岡市)の現地代表で、医師として医療支援だけでなく、人々の健康を守り、暮らしを豊かにするための灌漑工事を続けて来られました。2019年10月に、アフガニスタンから名誉市民権を授与されたばかりのことでした。

長く紛争が続くアフガニスタンは、世界的にも特に危険なところです。そんなアフガニスタンでの中村哲さんの活動は、人道支援に携わるものにとって多くの学びと影響を残してくれました。

中村哲さんの関連書籍の特徴

中村さんの活動に関する書籍は多数出版されています。本人が書かれた自著はもちろん、中村さんの関連書籍には、自著以外の本も多いのが特徴です。

自らが経験したことを綴る「自著」と、取材対象者へのインタビューや対談を通して第三者が紹介する「ノンフィクション本」、そして、アフガニスタンで中村さんによる支援を受けた人々、国際協力用語だと「受益者(裨益者)」が書いたものがあります。

  1. 自著
  2. ノンフィクション本(聞き手・協力者)
  3. 受益者が書いた本

書籍は、自らの経験や体験をもとに書かれた自著が大半を占め、偉業や功績を称えて作家や記者が本を出すケースもありますが、受益者の目線で書かれた本は多くありません。

中村さんの関連書籍は、自著・他著を問わず、出版された年代が幅広いのも特徴です。まだ、中村さんが医療支援だけを行っていた1990年代の国際協力に対する世間の印象について述べられた本があったり、「医師が行う灌漑事業」という側面で注目される前と後に出版された本があります。

ニュースなどで中村さんが亡くなったことは知っているけど、アフガニスタンで具体的にどんな取り組みを行ってきたのか、そもそもアフガニスタンとはどんな国なのか知らない方はぜひ、「1.自著」と「2.第三者の執筆」そして「3.受益者が書いた本」と複数の著者の視点から、医師である中村さんが灌漑事業に取り組んだ想いについて読んでみてはいかがでしょうか。

カカ・ムラド~ナカムラのおじさん(2020年)

中村さんに助けてもらったことを後世に語り継ぐため、アフガニスタンで出版された2冊の絵本を日本語訳し、解説を加えてまとめられた本です。医師である中村さんがなぜアフガニスタンで灌漑を行ったのか、いつも民族衣装を身につけている理由など、中村さんが取り組んだこと、大切にしていたことがとてもよくわかります。

図書館ではヤングアダルト(YA)コーナーに所蔵されていることもあり、特に中高生にオススメです。

希望の一滴 中村哲、アフガン最期の言葉(2020年)

2009年から10年に渡り、西日本新聞朝刊に掲載された連載と、本人やスタッフが撮影した数々の写真を収載したの一冊。中村さんの

天、共に在り アフガニスタン三十年の闘い(2013年)

なぜ、日本人の医師が1600本の井戸を掘り、25キロもの用水路を引く灌漑事業を行ったのかについて詳しく紹介されています。医師として日々患者と向き合う中で、本当に彼らの健康と暮らしを守るために必要なことを考え、改善のための行動を移すことは、言葉にするよりも大変なことだと痛感させられます。

人は愛するに足り、真心は信ずるに足る アフガンとの約束(2010年)

「医師による灌漑事業」がそれほど注目されていない頃に出版された本で、作家の澤地久枝さんと中村哲さんによる対談の内容がまとめられています。中村さんの現地での取り組みの紹介というより、長年支援を行ってきた中村さんが見たアフガニスタンのことについてつづられています。

アフガニスタン情勢の移り変わりと報じられ方の変化、アフガニスタン人の心のよりどころ、中村さんが何を大切に想い、どのような気持ちで支援の取り組まれているのかが伝わってきます。

医者よ、信念はいらないまず命を救え! (2003年)

出版されたのは、中村さんらによる医療活動や井戸掘削事業が軌道に乗りはじめ、用水路増設を控えた頃。内容は主に、医学生や医療関係者向け講演と、その質疑応答が載っています。海外での医療支援における困難に、どう向き合い、取り組んできたのかを、硬すぎず、時にはユーモアをまじえて紹介されています。

アフガニスタンの診療所から(1993年)

まだ灌漑事業を始める前の農村医療支援について、中村さんが書かれた一冊です。本人の言葉で国際医療支援に取り組む想いや、アフガニスタンの文化や歴史、そこで行う医療支援の大切さや難しさなどがつづられています。

また、1990年代における国際支援やボランティアが、当時どのように思われ、国際支援に携わる側の中村さんが感じたことについて書かれています。当時の国際協力に対する世間の印象や、考え方の変化などについて触れることができます。

中村さんから教わった大切なこと

『カカ・ムラド~ナカムラのおじさん』の中に、こんな中村さんのセリフがあります。

カカ・ムラドが教えてくれた言葉。『できないと最初からあきらめてはいけないよ。ひとりの力には限界があるけれど、誰かの助けがあれば、何かができるかもしれないよ。ひとりきりでがんばるだけではなく、大切な誰かに相談すること』

引用『カカ・ムラド~ナカムラのおじさん』より

「最初からあきらめてはいけない」。さまざまなリスクや将来の不安が蔓延する現代社会で暮らしていると、忘れてしまいがちな大切なことですよね。日々の暮らしの中はもちろん、課題を解決していく国際協力において、とても大切なことだと感じました。

この記事を書いた人
メッスィ~/召田 安宏

1984年生まれ。長野県に多い苗字だけど東京都出身。学生の頃にNGOと出会い、NGOの広報担当を10年以上経験。ボランティアや国際協力に関する話題、広報の仕事に役立つサービスやフリーソフトを調べるのが好き。詳しいプロフィールはこちらをご覧ください。