世界を変えるための入門書|合同出版「30の方法」シリーズ
世界には戦争や貧困、飢餓、難民、人権侵害など、さまざまな問題・課題が存在します。どれも簡単には解決できない課題ばかりです。
そんな世界が抱えるさまざまな問題に対し、私たちができることを紹介した書籍が、合同出版から数多く出版されています。タイトルの通り、貧困や人権、地球環境などの各問題に対して「できること」が書かれており、章毎に完結しているため、知りたいこと、読みたいページから読み進められるのが特徴です。中高生はもちろん、忙しい社会人にとっても読みやすいオススメのシリーズです。
正式なシリーズ名ではありませんが「30の方法」シリーズと称してご紹介します。(以下、出版された順番にご紹介します)
1.戦争をしなくてすむ世界をつくる30の方法
「戦争なんてしたくない。平和な世の中がいい」と誰もが思っているかというと、実はそうではないと気づかされる一冊です。どんなときにも「戦争をしたい人」と「戦争をしたくない人」がせめぎあっているのです。
誰かの思惑によって引き起こされる戦争があるとしたら、回避したり、未然に防ぐ手立てがあるはずです。そんな方法、アイディア、考え方を学べる一冊です。
2.世界から貧しさをなくす30の方法
「貧しさ」と言っても、さまざまなケース、理由が存在します。貧しさに直面する本人たちには、動かしようがない大きな力が働いていたり、モノやお金が世界的につながっているグローバル経済によって「奪われている」という事実があります。
世界から貧しさをなくすには寄付をして、援助することができることとしてすぐ連想されます。ですが、貧しさには理由があり、問題を解決するためにはどんな考え方で、どう行動すべきか処方箋が示されています。
3.おカネで世界を変える30の方法
多くの人がお金を預けている銀行ですが、「お金を預かること」が目的ではありません。預かったお金を貸したり、うまく使って、利益を上げているのです。そんな銀行へ預けたお金が、軍事、原発、環境破壊などに使われている可能性があるのです。
便利で利用する人も多い100円ショップ。環境面や手軽さのイメージを売り出しているオール電化住宅。便利なものの背景にある問題と課題について考えるきっかけになります。
地域通貨やNPOバンクなど、お金が使われる仕組みを変えることを通じて、世の中を変えていく考え方が紹介された一冊です。
4.人権で世界を変える30の方法
「人権」は空気のようなもので、普段意識することもないし、あってあたりまえのもの。そして、無くてはならないものです。しかし、世界ではさまざまな人権侵害が発生しています。
そもそも「人権」とは何なのか、人権の歴史や国際刑事裁判所など人権侵害を止める仕組みや行動のヒントが紹介されています。
5.天然住宅から社会を変える30の方法
30の方法シリーズの本は「問題を解決するため、これをやってみよう」というスタンスですが、「天然住宅に暮らすことが、どうに社会に影響を与えるのか」という変わった切り口で紹介されています。
住宅は暮らしに不可欠なものであり、日々の生活の利便性が重視されるものです。日々使用する機能にばかり目が向いてしまいますが、見落としがちな施工の技術や素材の調達元などを知ることができます。森林問題や地球温暖化対策などを考える糸口にもなるかも。
6.移住者が暮らしやすい社会に変えていく30の方法
「日本のブラジル」と呼ばれる群馬県大泉町、韓国料理店が並ぶ大阪市生野区、フィリピン人が多く働く岐阜県可児市、都心へのアクセスが良くインド人技術者が集まる東京都西葛西など、日本には多くの移住者が暮らしています。
日本は、欧米やアジアの国々と比べ、人口に占める外国籍の割合はまだ少ないかもしれません。ですが、確実に日本の中に外国籍の人が暮らしていて、母国とは違う文化や習慣、言葉が通じないという環境で暮らしている人は少なくありません。私たちの身近にいる移住者について知り、一緒に暮らしていくために必要なことを学べる一冊です。
7.世界から飢餓を終わらせるための30の方法
世界には、すべての人が健康に生きるために必要な食料は十分にありますが、世界では6人に1人が飢餓に苦しんでいます。食料はたくさんあるのに飢餓が生まれる原因は、不均衡な貿易の仕組みや投機、買い占められる農地やバイオ燃料などさまざまです。
食料・飢餓の問題について知り、どう取り組むべきか、私たちにできることについて考えるきっかけとなる一冊です。
8.世界の富を再分配する30の方法
今、世界人口の1%のお金持ちに世界中の富が集中していると言われています。世界が抱える深刻な問題を解決するための方法として、国境を越えるグローバルな経済活動に課税し、その税収を貧困や環境破壊をなくすために使おうという新しい税の仕組み「グローバル・タックス」の可能性について紹介しています。
グローバル・タックスの歴史、仕組み、取り組みの現状、課題などを学ぶ一冊としてオススメです。
9.世界の難民をたすける30の方法
「難民」と聞くと、遠い国の、自分たちには直接関係のない話のように感じるかもしれませんが、もはや対岸の火事ではありません。住む場所を追われ、命の危険にさらされ、行動が制限され、得られる情報もわずか。そんな不安な状況に陥る可能性は、まったくのゼロではありません。
日本にも難民として、祖国を離れて暮らしている人たちがいます。すぐ近くで苦しんでいる人がいること、彼らのためにできることを知り、考え、行動する30のヒントがまとめられています。(2018年5月初版で、ミャンマーのロヒンギャ難民の事例も含まれています。)
10.世界中の子どもの権利をまもる30の方法
「子どもと学ぶ!国際理解・権利学習の入門書」と紹介されている本書は、1989年に国連で採択された「子どもの権利条約」と、2015年に採択された「持続可能な開発目標 (SDGs)」について学べる一冊です。
「子どもの権利条約」により、すべての子どもが「生きる」「育つ」「守られる」「参加する」権利を持ち、多くの国が守っていこうと批准しているにも関わらず、子どもの権利が脅かされている現状があります。
2019年、国連の「気候行動サミット」で演説した環境活動家のグレタ・トゥンベリさんや、2014年にノーベル平和賞を受賞したマララ・ユスフザイさんらはしばしば、大人たちから批判的なコメントが向けられています。日本でも、選挙時期に政治の話をするという高校生のツイートに対し文部科学大臣が「こうした行為は適切でしょうか?」と返信したということもありました。
あたりまえのことなのに、目に見えない、意識しずらい「権利」について、しっかりと学ぶ必要があると感じます。
みんなの小さな一歩が、世界を変える大きな一歩に。
どこか遠くの国の、私たちと無関係な問題だと思いがちですが、貧困、人権侵害、気候変動など、実は私たちの生活や暮らしとつながっていることが少なくありません。ぜひその“つながり”を知る一つのきっかけとして、「30の方法」シリーズはオススメです。
合同出版は今回紹介した「30の方法」シリーズだけでなく、世界の子どもたちの問題に焦点を当てた「世界のぼくは・わたしは」シリーズも出版されています。合同出版の両シリーズを合わせて読むことで、日本で暮らしているとなかなか実感しにくい世界の現状や課題について、より身近に感じていただけると嬉しいです。