「学校へ通えない」ってどういうこと?世界の子どもたちの教育について学べる映像3選

新型コロナウィルスの影響で学校が休校している今だからこそ、「学校へ通うこと」の意味について、考えてみませんか?

新型コロナウィルスの患者数は世界的に増え続け、WHOも「パンデミック(世界的流行)とみなせる」と表明。感染拡大を防ぐため、学校は臨時休校となっていますが、この状況をネガティブに捉えるのではなく、ポジティブに考えることも大事だと思います。

こんなときだからこそ「学校へ行きたいのに行けない」そんな世界の子どもたちについて、考えるきっかけとしていただけると幸いです。

学校で勉強できない子どもたち

日本の子どもたちにとって、突然「学校へ通えなくなる」という事態は初めての経験ではないでしょうか。

普段は「学校へ行くの面倒くさい」とか「勉強したくない」と日々感じている子どもたちも、2~3週間も経つと、学校や友達が恋しくなりますよね。

「学校へ行きたい」という気持ちがあるのに通えない、そんな子どもたちが、世界に3億300万人(*)いると言われています。(出典:日本ユニセフ 公式サイト,2018

子どもたちが学校へ通えない理由

子どもたちが教育を受けられない最大の理由は「貧困」ですが、他にも学校へ通えない理由がいくつがあります。

1.学校が近くにない

都市から離れた農村地域、山岳部などでは、学校まで片道1時間以上というケースが少なくありません。国土の8割以上が山岳や丘陵地帯というネパールでは、山や川を越え、片道何時間もかけてようやくたどり着くような場所に学校があったりします。

2.教師や学校教育の質が不足している

学校へ通えても、しっかりとした教育を受けた教員が少ないという国もあります。約50もの少数民族が暮らす多民族国家のラオスでは、学校の授業で使われるラオス語が分からない少数民族の子どもたちが多く、授業についていけずドロップアウト(途中退学)してしまうケースが多々あります。

3.紛争により難民や避難民となってしまった

紛争や人権侵害から逃れるため、難民や避難民となった子どもたちは、学校へ通うことはもちろん、安心して暮らすことすらままなりません。シリア難民(490万人)に次、世界で2番目に多い270万人の難民が国外へ逃れているアフガニスタンでは、イスラーム過激派組織(ISIL)やタリバンなどによる攻撃やテロが相次ぎ、治安や情勢が不安定なため、学校が閉鎖され、教育を受ける機会が閉ざされています。

難民のうち、約51%が18歳未満の子どもだと言われています。(出典: 今さら!? 聞けない難民問題、簡単解説!|なんとかしなきゃ!プロジェクト

2030年には、10歳から19歳の若者は13億人を超えると予測されています。2030年までに達成を目指す「持続可能な開発目標(SDGs)」でも、これからの世界を担う若者たちに質の高い教育を提供するゴールが盛り込まれています。特に教育は、世界が抱える数多くの課題を解決することができるため、17ある目標の中でも重要なテーマだと考えられています。

「教育」がテーマのオススメ映像・映画

『そのこ』

「なんで学校へ通わなきゃいけないの?」と、勉強すること、学校へ通うことに疑問を感じ始めた小学生にぜひオススメしたい詩です。

誰もが一度は名前を聞いたことがある詩人・谷川俊太郎さんが子どもの気持ちになって書き下ろした詩に、絵本作家の塚本やすしさんが絵を書き、日本を代表する女性シンガーソングライターの2人がユニットを組んだやもり(森山良子と矢野顕子)の曲で映像化。

「そのこ」 詩・谷川俊太郎 絵・塚本やすし 歌・やもり

遠く離れた空の下で暮らす「そのこ」と、日本に住んでいる「ぼく」の日常を描いた詩は、絵本にもなっています。シンプルで心打つ詩と、アフリカの子どもをモチーフにした力強い絵が胸にせまります。遠い異国の「そのこ」はどんな気持ちで日々暮らしているのか、ぜひ想像してみてください。

映画『学校世界の果ての通学路』

「自転車で学校通うの面倒くせぇな~」と感じている中学生にオススメ。世界には、 毎日15kmも野生のキリンや象が生息するサバンナを駆け抜けている子どもや、生まれつき足が不自由で兄弟に車椅子を押してもらって4kmもの道を登校している子どもたちが登場します。

どうして彼らはそこまで苦労して学校に通っているのか。住んでいる国も違えば、言語や文化、宗教、生活環境すべてが違う子どもたちは、ある一つの想いを持って学校へ通っています。

映画『世界の果ての通学路』2012年製作/77分/フランス

ぜひ、彼らが学校へ通う理由とその想いについて、彼らの通学風景から感じてもらえると嬉しいです。

映画『おじいさんと草原の小学校』

「今勉強していること、社会に出たとき役に立つの?」と勉強することの意味を見失ってしまった高校生にオススメ。

アフリカ大陸ケニア。イギリスの植民地支配から独立を勝ち取った39年後の2003年、政府がついに無償教育制度をスタートし、田舎の小学校の前には何百人もの子どもたちが押し掛けた。その中にただ一人、老人の姿が。

84歳の主人公、マルゲは子どもの頃お金がなくて学校へ通うことができませんでした。ラジオ放送で学校の無償化を聞いたマルゲは杖を突きながら小学校へ向かいますが「ノートや鉛筆が必要だ」、「制服や靴がないといけない」などと教師から入学を断られてしまいます。

それでも、良い生徒になり、猛勉強をすることを誓ったマルゲが学校へ通い始めると、今度は大人たち

映画『おじいさんと草原の小学校』2010年製作/103分/イギリス

作中「文字が読めることによって貧困から抜け出すことができる」というメッセージがあります。教育を受けられない原因の一つである「貧困」から抜け出すためには「教育」が大事であり、そして、学ぶことに終わりがないことを教えて

私たちにとっての「あたりまえ」が「あたりまえ」でない世界

多くの人にとって「あたりまえ」のことが「あたりまえ」ではない人たち、子どもたちが世界には大勢います。

「あたりまえ」だと思っていた「学校へ通うこと」が、突然できなくなりました。そんな時期だからこそ、学校へ通うこと、教育の大切さが実感できるかもしれません。この時期をポジティブに捉え、授業だけでは学べないことを考えたり、普段とは違った世界へ目をむけるきっかけにしてみてはいかがでしょうか。