ペットボトルのキャップをワクチンに

日本では一年間にどれくらいのペットボトルが消費されていると思いますか?

ペットボトルの消費量は年間「200億本」とも言われています。

ペットボトルのキャップは「燃えるゴミ」として焼却されるか「燃えないゴミ」として埋め立てられます。そんなキャップに目をつけた取り組みがあります。

ペットボトルのキャップを「ワクチン」に

ペットボトルのキャップは「ポリプロピレン」というプラスチックでできています。リサイクルすれば、再生して使える資源です。そんなペットボトルのキャップに注目した人たちがいました。2005年5月、神奈川県内の女子高生がペットボトルのキャップを集め、医療支援に換える運動を始めようと、いくつかの団体に活動への参加を呼びかけたところから活動が始まりました。その後、多くの市民団体が賛同し、ペットボトルのキャップを集めて、世界の子どもたちにポリオワクチンを寄付する「エコキャップ運動」がスタートしました。

ポリオとは小児麻痺のこと。治療に使われるワクチンは1本約20円。集められたペットボトルのキャップはリサイクル業者に売却され、収益を寄付してポリオワクチンを購入する仕組みです。キャップを約800個集めることで、ワクチンを1本買える計算になります。

誰でも気軽に参加できる活動として

エコキャップ運動の特徴は、ペットボトルのキャップを回収し、エコキャップ推進協会に送るだけという参加のしやすさです。キャップの収益は「世界の子どもにワクチンを日本委員会(JCV)」に寄付され、ミャンマーやラオス、ブータンなどの子どもたちのために役立てられます。

この活動は、事前登録は不要で、誰でも参加でき、使途が分かりやすいやめ、全国各地に広まっていきました。

キャップの回収方法はいろいろ

大学やスポーツ施設など、自動販売機が常設されているスポーツ施設で「キャップ回収BOX」を見かけました。学校や職場など人がたくさん利用する場所で集められ、地域ごとの各事業者や団体が引き取っています。

ペットボトルキャップ回収ボックス
拓殖大学 文京キャンパスに設置されていたキャップ回収ボックス
エコキャップ運動の仕組み
キャップ回収ボックスに書かれている説明

キャップの回収には「送る」「持ち込む」「回収に来てもらう」という3つの方法があります。キャップの送り先は、NPOエコキャップ推進協会のウェブサイトをご覧ください。キャップの回収を呼びかけるため、回収BOXも注文できるようです。

キャップ集めで注意したいこと

とても参加しやすい「ペットボトルキャップ集め」ですが、取り組むときに注意して欲しいことがあります。その懸念を「世界がもし100人の村だったら」の著者、池田香代子さんがブログで指摘されています。

ある教室に、「夏休みのしゅくだい ボランティアをしよう」と貼り紙がしてあって、子どもたちが、自分がしようと思うボランティアを書いていました。その中に、「キャップを○○こあつめる」と書いている子どもがいました。100の単位でした。その学校では、子どもたちのボランティア活動の一環として、キャップを集めていたのです。この子は夏の間、自分でもせっせとペットボトルの清涼飲料水を飲むのか、と思いました。これでまたひとつ、キャップが貯まった、自分はいいことをしてるんだ、と思いながら。(中略)キャップ800個でまかなえるひとり分のワクチン代は20円です。だったら、清涼飲料水を飲むのを1回がまんして120円を寄付すれば、6人のワクチン代を購えます。引用:池田香代子ブログ : 続・アフリカに子供服を送らないで ボランティアの光と影

やる気になっている子どもたちに「キャップを集めるより募金しろ!」と言うのは気が引けますが、何のために集めるのか、目的を見失わないようにしなくてはいけませんね。

聞いた話ですが、「キャップが寄付になる」と知ったビルの管理人が、建物の自動販売機脇に置かれたゴミ箱からキャップを集めてくれたそうです。その量が多すぎて、送料がとんでもない金額になってしまったそうです。気持ちはうれしいけど、送料の金額をそのまま寄付したほうがよいかも・・・っと考えてしまいますね。

『ゴミとして捨てられるキャップも集めることで、子どもたちを助けられるのなら』と考えるか。
『キャップを集めるためにペットボトルを買うのなら、その額を寄付したほうが』っと考えるか。

ペットボトルのキャップ、エコキャップについて、考えるきっかけにしていただけると幸いです。

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