Googleマップにはない魅力がある「OpenStreestMap」と地図アプリ「MAPS.ME」

OpenStreetMapで新国立競技場付近を表示させたもの(2019年3月時点)

旅行や取引先を訪問するときは地図アプリが手放せないという方、多いのではないでしょうか。

地図アプリの中でも「Googleマップ」を使っている方が多く、マイマップ機能で行きたいお店や観光ルートを記録させたり、ストリートビューを使ったり、多機能でとても便利ですよね。「他のアプリはなくてもかまわないけど、Googleマップだけは手放せない」という方もいるのではないでしょうか。

そのため、他の地図アプリ・サービスを使う機会が少ないかもしれませんが、Googleマップとは異なる目的で生まれた地図「OpenStreetMap(オープンストリートマップ)」と、その地図を使ったGoogleマップにはない魅力を持ったアプリをご紹介します。

OpenStreetMap(オープンストリートマップ)って何?

OpenStreetMapとは、誰もが使うことができる自由な地図データを作成し、提供することを目的とした世界規模の地図プロジェクトです。誰でも自由に参加して、誰でも自由に編集でき、誰でも自由に利用できることから“地図のWikipedia”とも呼ばれています。

仕事の関係でオープンストリートマップ・ファウンデーション・ジャパンの方と知り合い、自分でも地図を編集してみたんですが、結構楽しんです。地図をつくるのって。

私は東京に住んでいるんですが、私の家の近所はまだ地図が完成していない所が多くて、時間があるときに地図を編集しています。地図の編集といっても、地道な更新ばかりで住宅の建て替えや閉店・開店などを書き込む程度。たったそれだけのことですが、地図を編集してみて気が付いたのですが、地図ってメンテナンスや更新が必要なんだなって。

地図の更新はとても労力がかかるからこそ、よりよい地図を提供してくれるサービスを利用する訳ですが、実はGoogleマップからOpenStreetMapへ乗り換えている企業も増えているようです。

OpenStreetMapとGoogleマップ、何が違うの?

OpenStreetMapがGoogleマップと大きく違う点は、 第三者が自由に利用できる無収益型の地図という点です。

GoogleマップからOpenStreetMapへ乗り換えはじめた企業

Googleマップは第三者からの利用料や広告料で収益を生み出しています。Googleマップの使用制限は厳格で、1日のページロード数が25,000回までなら無料ですが、1,000ロード超過する度に4ドルが課金されます。そのため、FoursquareやAppleなど有名な会社・サービスがGoogleマップから乗り換えています。

Googleマップが地図検索サービスとして有能で便利であるのは疑いのない事実ですが、第三者からの利用料や広告料で収益を生み出すサービスのため、自由や公平性などは満たせない可能性があります。

その点OpenStreetMapは、第三者が自由に利用できる無収益型のサービスのため、企業はもちろん自治体や公的機関にとっても都合のよい地図と言えます。地図のコントロール権を特定の企業が持っているということは、公平性という面で好ましい状態とは言い難いと思います。特にGoogleはお店の集客や販売促進といった目的で使われることが多いため、自治体のウェブサイト上に掲載された地図に「特定のお店の広告がドカン!」っと表示されていたら、ちょっとね。。。

OpenStreetMapの編集はPCとインターネットがあればOK

Googleマップはこんなグーグルカーを走らせて、ストーリートビューを撮影するなど、結構、派手ですよね。

東京都内、新御徒町駅近くで撮影
東京都内を走行していたグーグルカー(ストリートビュー撮影車)

一方、OpenStreetMapのアップデート方法はとても地味ですが、PCとインターネットがあれば更新することができます。

こちらがOpenStreetMapの編集画面です。衛星写真を元に、道路の「ライン」を引いたり、建物や公園などを「エリア」にしていきます。ほぼ、目視で手作業です。

OpenStreetMap編集画面イメージ
ミャンマー・ピー周辺をOpenStreetMapで編集している様子

※OpenStreetMapの編集方法について詳しくはコチラのガイドをご覧ください。

OpenStreetMapは、世界各地のボランティアが、自分の住む地域の情報を加えることで、これまでにない最高の地図を作り上げようとしたプロジェクトです。

OpenStreetMapの活用事例

OpenStreetMapの活用方法はさまざまです。地震などの自然災害が発生した際に「クライシスマッピング」が行われたり、OpenStreetMapを使って有名な地図サービスを提供している「Foursquare」や「MAPS.ME」などがあります。

災害時の「クライシスマッピング」で力を発揮するOpenStreetMap

クライシスマッピングとは、災害が発生したエリアの地図をインターネット上で市民がSNSや航空写真などの情報を元に作成する活動のことです。リアルタイムで更新され、被災支援に役立てられます。もともと地図が存在しない海外で効果を発揮し、赤十字やNGOなどが緊急救援を行う際のロジスティクスや戦略策定に影響を与えることもあります。

OpenStreetMapを利用した海外旅行に便利なアプリ「MAPS.ME」

海外旅行好きやバックパッカーの間で人気の地図アプリ「MAPS.ME」もOpenStreetMapを利用しているサービスです。MAPS.MEの最大の特徴は、地図をオフラインで使えるところです。オフライン=インターネットに接続しなてくも使えるということです。

観光地などではWiFiが普及しているとは言え、どうしても国際ローミング(日本の携帯会社を経由する方法)でインターネットに接続しなければいけない場所などもあります。※私もガーナへ出張し、帰国後●万円の請求が届いたときのことは今でも覚えています・・・。

MAPS.MEは事前に地図データを端末にダウンロードしておき、オフライン=インターネットに接続せずに表示やルート案内などを行うことができます。(もっと早くこのアプリのこと知っておきたかった・・・)

※Googleマップも事前に地図をダウンロードできますが、オフラインデータの容量はMAPS.MEの方が少ない傾向があります。

OpenStreetMapはまさに”地図のWikipedia”であり、世界中の人が協力して地図を作成して、更新を続けてくれています。地図の情報も、主要な交通機関や有名な建物だけでなく、飲食店、ホテル、銀行、ATMなども載っているので旅行にはもってこいですね。

「Maps.me」の詳しい使い方はコチラをご覧ください。

まずは旅行する予定の国や地域の地図をダウンロードしてみましょう。

地図がない国や地域へOpenStreetMapで地図を“届ける”

しかし、世界には詳細な地図が存在しない国や地域も多く存在します。誰もが自由に見ることができるOpenStreetMapで地図を作ることは、そこに住んでいる人や、旅行で訪れる人たちの役に立つはずです。

「アジア最後のフロンティア」と呼ばれるミャンマーは経済発展が進む一方、子どもたちのための本が不足しています。子どもたちが貧困から抜け出せる力を身につけられるよう絵本を届ける取り組みに合わせて、OpenStreetMapを通じて地図を届けるイベントを企画しました。

ぜひこの機会に「絵本を届ける運動」や「OpenStreetMap」に参加してみませんか?