カーペット産業における児童労働とラグマーク運動

児童労働によって生み出される製品の一つに、カーペットがあります。カーペット産業における児童労働は、インドやネパール、パキスタンなど南アジアの国々で多く見られます。

カーペット

カーペット産業における児童労働

なぜ、カーペット産業に児童労働が多いのでしょうか?例えば、パキスタンのカーペット産業では、大半が小さな田舎の農家で行なわれていると言われています。多くの国は、国内の最低賃金を決めたり、労働状況を定めたりする児童労働のための法律を持っています。しかし、多くの国の労働法は、10人以下の人しか雇っていない工場はその範囲に含まれていないのです。法の隙間を縫って、児童労働が行われているのです。

カーペット産業の現状

ネパールでは、国の二大輸出産業であるカーペット産業と茶のプランテーションが、数多くの児童を悪条件で働かせている事で世界的にも有名です。その背景には、グローバリゼーション=国際競争が関わっています。

価格を低く抑える「コスト削減」は国際競争に勝ち抜くには必要なこと。そのコスト削減の最も有効な手段は、労働者の賃金を低く抑えることです。そのため、悪条件であっても安い賃金で従順に働く子どもが好まれる傾向にあるのです。

一日10~15時間働かされているとも言われ、もらえるお金は微々たる物。賃金の半分は子どもに仕事を斡旋したブローカーが取り、のこりの給料からは食事代や睡眠場所代、ベット代などが天引きされます。残りのお金を田舎の家族に送金すると、手元にはほとんど残りません。

そんなカーペット産業における児童労働の問題に、従来の法律や条約での制限ではなく、市場原理を利用したアプローチで取り組んだ活動があります。それが「ラグマーク運動」です。

ラグマークとは

ラグマークとは、児童労働者を使わないことを約束し、児童労働が行われないよう監視された企業によって製造/輸出されたことを保証する認定商標=ラベルです。児童労働者によって作られているかもしれないカーペットとの差別化を行なうための運動として、南インドを中心に1980年代後半から広がりました。今、このラグマークが、カーペット産業自体の構造変化を消費者側から変えていく方法として注目を浴びています。

児童労働を法律などで制限するだけでは児童労働を防ぐことは難しい。そこで、カーペット産業における児童労働の解決方法として編み出された、"市場原理"を使ったアプローチが「ラグマーク運動」です。

ラグマークの特徴は「児童労働を使わないメリット」を創造していることです。1994年には100万人と言われていた児童労働者数が、2004年には30万人にまで減少したといいます。もちろん、ラグマークだけの成果ではありませんが、それでもひとつの産業の中で児童労働に取り組む成功例のひとつだといえるでしょう。

【参考・引用】