マイクロソフト、中国製造工場で児童労働の疑い。労働環境調査へ。
iPodやiPhoneに続いて、
Microsoftのマウスも児童労働によって作られていると指摘された。
米Microsoftも、中国でハードウエア製造を委託している工場の
劣悪な労働環境を批判する調査報告を受けた。
この報告を受け、同社は査察チームを派遣し、詳しい調査に乗り出すと発表した。
アップル製品の製造工場での児童労働が発覚したというニュースは、まだ記憶に新しい。
※参照「iPodと児童労働|NGO広報スタッフブログ “国際協力 はじめの一歩”」
こちらが問題の全米労働委員会(NLC)の報告書。
⇒ China’s Youth Meet Microsoft|The National Labor Committee
報告書には、わずかな休憩時間に倒れ込むよう仮眠を取る姿が掲載されている。
同社製のマウスだけなくウェブカメラ、X-Box360のコントローラーも製造されているとのこと。
同工場は、16〜17歳の勤労学生を数百人、最も多いときで1000人雇用し、主に朝7時45分から夜10時55分まで1週間に6〜7日間勤務させていた。時給は65セントで、食費を差し引くと52セントしか残らない。自由行動はいっさい禁じられ、決められた時間帯しか工場を出ることを許されていない。また、女子に対するセクシュアルハラスメントもあったという。(引用:マイクロソフト、中国製造工場の劣悪な労働環境問題で詳細な調査へ|日本経済新聞)
上記の労働時間や給与を見ると、人権の侵害、不当な搾取であることは明白。
中国の労働法や Microsoftの行動規範にも違反した労働環境であることが、
同報告書の指摘しているポイントである。
グローバル企業がその行動規範で、取引先の労働環境に配慮することはもちろん、
その規範がどこまで適用されているか調査し、問題があれば
改善のための行動を移すことが、今後求められてくるはず。
一般メディアでは目にする機会は少ないが、
IT系を中心に、ネット上では多くの媒体がこのニュースを取り上げている。
(2010年4月28日現在掲載記事:※リンク切れはご了承ください)
◆MS委託中国工場で中高生ら労働 米人権団体が報告
読売新聞 – 2010年4月18日
◆マイクロソフト、中国製造工場の劣悪な労働環境問題で詳細な調査へ
日本経済新聞 – 2010年4月16日
◆MS、中国の外注先工場に労働実態の査察チームを派遣
CNET Japan – 2010年4月15日
◆中国工場の未成年就労と劣悪労働環境問題、米Microsoftが調査を開始
マイコミジャーナル – 2010年4月15日
◆Microsoftマウスの工場、「劣悪な労働環境」とNGOが報告
ITmedia – 2010年4月15日
◆MS委託中国工場で中高生ら労働 米人権団体が報告
47NEWS – 2010年4月14日
◆Microsoft 製品製造の中国工場は劣悪な労働環境、米 NGO が告発
スラッシュドット・ジャパン – 2010年4月18日
◆アップルの次はマイクロソフト! 現代版女工哀史の悲惨
ギズモード・ジャパン (ブログ) – 2010年4月17日
◆時給48円、30度の室内でマウス2000個を組み立てる工場 ― 米NGOが中国の工場を告発
iNSIDE – 2010年4月17日
◆コントローラー工場の過酷すぎる労働環境
Kotaku JAPAN – 2010年4月15日
これは、アップルやマイクロソフトという世界的な知名度を誇る企業に限らず、
日本企業も対岸の火事ではいられない。
「毒入り餃子」に代表される食の安全性に関わる不安や
環境に対する消費者意識が高まっているのは周知の事実。
これに対し、製品や原料の製造状況を含めたトレーサビリティ(※1)の向上、
サプライチェーン(※2)における労働環境の調査・監査は、
世界を舞台にビジネスを行う日本企業にもより一層の正しい理解と取り組みが求められている。
※トレーサビリティとは
物品の流通経路を生産段階から最終消費段階あるいは廃棄段階まで追跡が可能な状態のこと。
※サプライチェーンとは
原材料の調達から生産・販売・物流を経て最終需要者に至る、
製品・サービス提供のために行われるビジネス諸活動の一連の流れのこと。
ACEでは、企業が直面する人権・労働分野のリスクに対し、
サプライチェーン管理に関するコンサルティング活動などを実施しています。
⇒日本企業が児童労働問題に取り組む3つの理由
また、5/14(金)「フェアトレード・フィルムフェスティバル」にて、
同じく中国の製造工場(こちらはジーンズ)で働く少女たちのドキュメンタリー
『女工哀歌』が上映されます。
ぜひこの機会に、わたしたちの労働環境だけでなく、
世界の生産者の現状にも、目を向けていただけると幸いです。