中学生にオススメ!国際協力問題の入門書 合同出版「世界のぼくは・わたしは」シリーズ

合同出版から出版されている「ぼくは・わたしは」と冠する書籍の一部

子ども兵士児童労働ストリートチルドレン人身売買エイズ紛争の問題などなど。世界を見渡すとさまざまな問題、課題が山積みです。

近年、「国際化」や「グローバル化」の名のもとに、子どもや若者に「世界に目を向けてみよう」と呼びかけられていますが、世界的な課題について分かりやすく紹介した書籍があります。

中学生から読めるよう、分かりやすく、課題解決に取り組んでいる国際協力NGOのスタッフが執筆した書籍が、合同出版から数多く出ています。正式なシリーズ名ではありませんが「ぼくは・わたしは」シリーズと称してご紹介します。

中学生の読書感想文や社会科のレポートはもちろん「国際協力に関心が出てきた」という方の入門書としてもオススメです。

※以下に掲載された統計は、各書籍が出版された時点の数字です。

1.ぼくは13歳 職業、兵士。

世界約70カ国に子ども兵が30万人以上。地雷・小型武器・子ども兵士の問題に取り組む「テラ・ルネッサンス」による「ぼくは・わたしは」シリーズの第一作目。AK47(カラシニコフ)など、子どもが扱える小型兵器が流通したため、子どもが兵士となってしまった背景や、子ども兵たちの声が綴られています。

2.わたし8歳、カカオ畑で働きつづけて。

教育を受けられず、危険で有害な労働に従事している児童労働者は2億1800万人。

私たちの身の回りのものの中には、児童労働によって収穫、生産された可能性があるものがあります。コーヒーや洋服、チョコレートの原料・カカオ豆など。各産業で働く子どもたちの現状と児童労働が生まれる要因、そして課題解決の方法を、世界の子どもを児童労働から守るNGO「ACE」が執筆した一冊。

※詳しい紹介はコチラから

3.ぼくは12歳、路上で暮らしはじめたわけ。

住む家がなく、路上で暮らすストリートチルドレンは1億〜1億5000万人。

海外旅行に出かけた先で目にする機会も少なくありません。学校にも行けず、日々、暴力や麻薬などの危険にさらされています。ストリートチルドレンや恵まれない子どもたちを支援している「国境なき子どもたち」の活動を綴った一冊。

4.世界中から人身売買がなくならないのはなぜ?

「今の時代に人身売買?」と思うかもしれませんが、日本は人身売買の受け入れ大国です。人身売買は一部の悪い人だけの問題ではなく、日本の誰にでもつながる身近な問題だと、世界からあらゆる差別と人種主義の撤廃を目指す「反差別国際運動(IMADR)」の事務局長らが執筆した一冊。

5.ぼくは8歳、エイズで死んでいくぼくの話を聞いて。

2008年、エイズによって親を亡くした子どもは1400万人。

2012年にサッカーW杯が開催された南アフリカでは、両親をエイズで失い、自らもエイズを発症し亡くなっていく子どもたちがいます。保健医療を中心として国際協力活動を行っている「シェア=国際保健協力市民の会」のスタッフが執筆。

6.ぼくらのアフリカに戦争がなくならないのはなぜ?

人類発祥の地と呼ばれるアフリカで、なぜ今なお悲しい内戦が続いているのか。奴隷貿易から始まる歴史的な根の深さと、人為的に引き起こされた要因が複雑にからみあっています。『ぼくは13歳 職業、兵士。』を書いた「テラ・ルネッサンス」によるシリーズ2冊目。

7.妹は3歳、村にお医者さんがいてくれたなら

栄養失調、8億7000万人。
エイズ感染者、3400万人。
妊娠・出産で死亡する女性、29万人。

そのうち、大半を占めるのは開発途上国の人々で、戦争や貧困などで虐げられるのは立場の弱い女性や子どもたちです。すべての人に医療を届け、人道支援に取り組む「国境なき医師団」による医療援助の記録です。医療を届けるためには、医療関係者だけでなく、物資を調達し輸送する人、財務や採用などを取り仕切る人など、さまざまな役割を担うプロフェッショナルが必要であることがよく分かります。

8.ぼくのお母さんを殺した大統領をつかまえて。

国際刑事裁判所は、暴力や差別、紛争によって人びとを傷つけたり殺したりした者を公正に裁き、被害を受けた人びとを支援するために、1998年に国際社会の合意で作られた裁判所です。

約80カ国に事務所があり、人権分野では世界最大のNGO「アムネスティ・インターナショナル日本」が書いた国際刑事裁判所の入門書です。国際刑事裁判所の背景や理念、仕組みや取り組みなどがわかりやすく理解できます。

9.わたしは13歳、学校に行けずに花嫁になる。

命を奪われた女の子は2007年までに最大2憶人。

貧困や慣習などの影響で学校に通えず、人身売買によって性産業などで強制的に働かされる。早すぎる結婚と妊娠・出産。堕胎や幼児殺害で命を奪われる女の子たち。教育や子どもの保護を通じて女性の地位向上を支援する国際NGO「プラン・ジャパン」が状況を打開する方法について紹介した一冊。

10.子どもたちにしあわせを運ぶチョコレート。

世界の子どもを児童労働から守るNGO「ACE」によるシリーズ第二弾。前回からさらにチョコレート・カカオ産業の児童労働に特化した一冊。ガーナのカカオ生産地域での取り組みを通じ、日本チョコレートメーカーを動かし、子どもたちを児童労働から守るための方法を紹介しています。

11.990円のジーンズがつくられるのはなぜ?

1カ月、約4000円で働く女性。

ファストファッションの裏側では、世界の縫製工場といわれるバングラデシュで主に若い女性が低賃金で劣悪な労働環境で働いている現状を取り上げた言い冊。映画『ザ・トゥルー・コスト ファストファッション 真の代償』でも取り上げられたバングラデッシュの縫製工場建物崩壊事故についても取り上げています。

12.ぼくの村がゾウに襲われるわけ

動物園などで見かけるゾウが人を襲うシーンは、なかなか想像できないかもしれませんが、アフリカのタンザニアでは、ゾウの群れが村を襲い、村びとたちは命の危険にさらされています。なぜゾウが村を襲うのか、そこには歴史的な背景があります。そして、動物と共存するためのヒントが簡潔にわかりやすくまとめられています。

13.ぼくは13歳、任務は自爆テロ。

世界最悪の紛争地と呼ばれるソマリアで、テロと紛争の解決を目指して活動している「アクセプト・インターナショナル」の取り組みを紹介した一冊。ギャングとテロリストとの関係。どうしたらテロをなくすことができるのか。テロと紛争の解決に向けたアプローチについて知りたい方はぜひ。

14.わたしは10歳、本を知らずに育ったの。

アジアには「本を知らない」子どもたちがたくさんいます。図書館がない、内戦や貧困のために読み書きができない人も大勢います。生きるためには体の栄養となる食料が必要であるのと同時に、心に届く栄養も必要です。その栄養を届けるため、36年に渡りアジアで図書館づくりや翻訳絵本を届ける活動をしてきた「シャンティ国際ボランティア会」の活動実録です。一冊の本が子どもに夢や希望を与えてきた実例を多数紹介されています。

15.わたし8歳、職業、家事使用人。

バングラデシュの「家事使用人」と呼ばれる子どもたちがテーマです。他のタイトルでも「児童労働」が取り上げられていますが、2018年時点で1億5200万人の児童労働者のうち、家事使用人として働かなければならない女の子にスポットがあたっています。本を出したのは長年バングラデシュで活動している「シャプラニール=市民による海外協力の会」。

「世界のぼくは・わたしは」シリーズを通じて

実は私、光栄なことに「ぼくは・わたしは」シリーズのうち、『わたし8歳、カカオ畑で働きつづけて。』と『子どもたちにしあわせを運ぶチョコレート。』、『わたしは10歳、本を知らずに育ったの。』の3冊に関わらせていただきました。(※執筆ではなく、校閲や書籍販売やPRなどで)

この3冊はもちろんですが、「ぼくは・わたしは」シリーズ、ぜひ手に取って読んでいただきたいです。どの本も、中学生にとって「自分と同じ年頃の子どもたち」が登場するため、自分事のように共感しやすいのが特徴です。もちろん、大学生や社会人にとっても入門書的で分かりやすいのでオススメです。

※余談ですが、実は2014年10月に出版された「わたしは13歳、学校に行けずに花嫁になる。」以前と以降で、表紙のデザインが変わっています。以前はやさしいタッチのイラストがメインでしたが、以降は著者・団体が活動を行っている地域の子どもたちが描いたイラストや写真が中心になっています。

どこか遠くの国のことで、私たちと無関係だと思われがちですが、実は、私たちの生活や暮らしとつながっていることが少なくありません。ぜひその“つながり”を感じてみてください。

「30の方法」シリーズ

同じく合同出版から「世界から●●をなくす(変える)30の方法」というタイトルの本がたくさん出版されています。こちらも「30の方法」シリーズと称してご紹介しています。