サードウェーブチョコレート、Bean To Barとは?

2014年頃から、コーヒー豆栽培から淹れ方までこだわった「サードウェーブコーヒー」がトレンドとなっていますが、「サードウェーブチョコレート」って聞いたことありますか?最新のビジネストレンドを紹介するテレビ東京「ワールドビジネスサテライト(WBS)」でも、2015年11月13日に放送された回で「サードウェーブチョコ来襲?」と特集されました。

ワールドビジネスサテライト「サードウェーブチョコレート来襲」

そもそも、サードウェーブコーヒーの「サードウェーブ」とは、第三の波(=ブーム)という意味。コーヒーのファーストウェーブは、19世紀後半にアメリカでコーヒーが家庭に広く普及した時期で、いわゆるアメリカンコーヒーのことを指します。セカンドウェーブは1970年前後、シアトルコーヒーなどと称される深煎りの豆を細挽きしてエスプレッソマシンで抽出したコーヒーにたっぷりミルクを加えたコーヒーのこと。そして、焙煎方法からコーヒー豆の品種や産地にこだわった高品質なコーヒーを求める波が「サードウェーブコーヒー」と言われています。

そんなサードウェーブの波がチョコレートにも来ているようです。

サードウェーブチョコレートって、どんなチョコレート?

チョコレート-イメージ写真

ワールドビジネスサテライトの特集では、「Bean To Bar(ビーン・トゥー・バー)」をサードウェーブチョコレートと紹介しています。Bean To Barは、聞いたことある人もいるのではないでしょうか。

コーヒーと同じように、チョコレートも原料となるカカオの種類や産地、焙煎具合によって味わいが大きく変わります。そこに注目したのが「Bean To Bar」です。

Bean To Barってなぁに?

チョコレートは、すでに焙煎・粉砕・加工された「製菓用チョコレート」を取り寄せて作るのが一般的です。

一方、Bean To Barは、チョコレートの原料であるカカオ豆の選定から完成に至るまで、全行程を作り手(工房)が担う手法のことを指します。Bean To Barと呼ばれるチョコレートは、「カカオ豆の選定から、カカオ豆の焙煎、チョコレートの加工までを行い、産地毎のカカオの風味を活かした製法を通じて作られたチョコレート」と言えます。

「シングルオリジン」との違いは

サードウェーブチョコレートの説明の中で「シングルオリジン」というキーワードがたびたび出てきます。

チョコレートの原料であるカカオ豆は、コーヒー豆と同じように豆の品種や生産国、収穫地によって風味や味わいが変わります。その違いに注目し、豆の個性を活かし、単一種の豆を使った製法を「シングルオリジン」と呼びます。Bean To Barはシングルオリジン、特定の産地のカカオ豆だけで作られることが少なくありません。

「クラフトチョコ」と紹介されることも

別の記事では、サードウェーブチョコレートは「クラフトチョコ」と紹介されていました。

チョコレート-イメージ写真

クラフトビールも人気ですからね。クラフトビールは「地ビール」と紹介されることもありますが、大手ビールメーカーも参入し、伝統的で高品質な「ビール職人による本格ビール」のことを指します。サードウェーブチョコレート≒Bean To Barも同様の要素が含まれているので「クラフトチョコ」と呼んでも差し支えなさそうですね。

Bean To Barのお店

サードウェーブチョコレートやBean To Barとして紹介されているお店もいくつかご紹介します。

1.Minimal(渋谷)

「ワールドビジネスサテライト」で紹介されたお店です。サードウェーブチョコレートやBean To Barがブームになった頃に起業されたことでメディアでも注目されています。

2.バニラビーンズ(みなとみらい、川崎)

サードウェーブチョコレートやBean To Barがトレンドになる前から人気のあったお店。楽天市場では、スイーツ部門の常連で、チョコレートの売上を通じて、カカオ生産地のガーナでの学校建設などにも取り組んでいます。

3.アルチザン パレ ド オール(清里、青山、豊中)

パティシエの三枝俊介シェフのお店です。カカオ豆の状態からチョコレートに仕上げる工房と店舗として2014年に清里にオープン。Bean To Barだけでなく、児童労働のないカカオを材料に使った製品も販売しています。

4.green bern to bar chocolate(中目黒)

カカオ豆からチョコレートになるまでの工程をすべて手作業で行うBean To Barの専門店として、2015年11月7日にオープン。体験型ワークショップも楽しめるようです。

5.ダンデライオン

サンフランシスコのチョコレートブランドで、2016年1月に日本(蔵前)でのオープンを目指しています。クラフトチョコの旗手として、東洋経済で紹介されました。

6.明治製菓

日本を代表するチョコレートメーカーの明治製菓も「Bean To Bar」と名前を冠したチョコレートを販売しています。

明治は、カカオ豆(Bean)からチョコレート(Bar)に仕上げるまでの工程を一貫してこだわったチョコレートのこと、と表記しています。

チョコレートは味だけでなく、産地にもご注目

カカオの実(カカオポッド)

チョコレートに限らず、お菓子や食べ物を選ぶ基準の大半を占めるのは「美味しさ」です。従来の製法は、商品を提供することを重視して、どこで、誰が作った原料なのかを厳密に把握することを重視してきませんでした。美味しさを求めて、原材料に注目したのが「サードウェーブ」なんですね。

おいしいチョコレート作りに必要不可欠なカカオ豆ですが、今、供給量が減っているのです。世界的に需要は拡大しているのに、カカオを作る生産者が減少し、供給が追いつかなくなると予測されています。

私たちがおいしいチョコレートを楽しむだけでなく、おいしいチョコレートの元となるカカオを生産してくれる人たちの暮らしも守っていく波も、一緒に届いていって欲しいと思います。サードウェーブチョコレートBean To Barのチョコレートを味わうときはぜひ、生産地や生産者にも想いをはせて、食べていただけると嬉しいです。

※ちなみにオススメのサードウェーブチョコレートは、バニラビーンズの「ショーコラ」です。