パブリックビューイングでHIV/エイズ感染予防

最近、サッカーの国際試合や大きな大会があると、スポーツバーなどで「パブリックビューイング」が開催されますよね。2006年のサッカーワールドカップドイツ大会でも、みんなで喜びを分かち合ったり、大画面で観戦したい人たちが多く参加していた印象があります。そんな「パブリックビューイング」の機会を活用した国際協力を行っている企業があります。

ソニーとJICAがガーナでHIV/エイズ感染防止のパブリックビューイングを実施

ソニーとJICAが協力してパブリックビューイングを通じて、HIV/エイズ感染防止を呼びかける取り組みが行われたそうです。あまりテレビが普及していないガーナでは、15~24歳のHIV/エイズの新規感染者が増加傾向にあり、若者の新規感染防止が重要課題になっています。そこで、ガーナで特に感染率の高い地域で、ラジオ放送や演劇、ビデオ上映会など、若者が集まりそうなイベントを開催し、HIV/エイズに関するカウンセリングやHIV検査を行ったそうです。

この共同プロジェクトにより、ガーナ関係機関が開催するHIV/エイズ啓発・教育イベントをJICAが単独で支援した場合と比較して、HIV検査受診者数が約3倍に増加するなど、HIV/エイズの教育と啓発活動の促進を図ることができました。(中略)ガーナはアフリカ代表国として「2006 FIFAワールドカップ」の出場に続き、現在、「2010 FIFAワールドカップ」のアフリカ地域決勝リーグの首位で、本大会への出場が有望視されています。サッカーに対する国民の注目・人気度は高いものの、テレビの普及率が21%(都市部集中)と低く、多くの人々がサッカー観戦を楽しむことができず、自国チームの応援さえもできません。このような状況下、ソニーは、同時期に南アフリカで開催されていた「FIFAコンフェデレーションズカップ 2009」の生中継映像や「2006 FIFAワールドカップ」のガーナ戦・録画映像など、サッカーとソニーのリソース(技術、製品、人材など)を活用した社会貢献活動を、国際協力プロジェクトに携わるJICAに提案しました。(出所:JICAとソニー、ガーナのHIV/エイズ教育促進で官民連携の共同プロジェクトを実施|Sony Japan

 

HIV/エイズがアフリカで深刻な理由

実は、サハラ砂漠より南のアフリカで、HIV感染が増えています。その理由は、諸説ありますが、貧困、紛争、教育環境、文化的な背景など、さまざまな要因が絡んでいます。

例えば、HIV/エイズについて正しい知識や情報を得ていれば、感染を回避することもできます。しかし、知識がないと感染者への偏見や孤立を恐れて治療を受けられなかったり、収入を得るため性的労働に従事する傾向があったり、性的暴力を受けやすいことなども問題となっています。

今回のソニーとJICAによるパブリックビューイングを通じて取り組みは、理由の一つとして考えらる「HIV/エイズに対する知識不足」を解決するため、ユニークかつ企業の本業を生かした社会貢献活動と言えますね。

国連合同エイズ計画(UNAIDS)が2008年にまとめたレポートによれば、2007年のワールドワイドでのHIV陽性者の数は3300万人で、このうち「サブサハラ・アフリカ(サハラ以南のアフリカ)が2200万人(全世界の69%)を占めるという(日本は0.1%未満)。そのため、サブサハラ・アフリカでのHIV/エイズの感染を防ぐことが急務となっている。(出所:JICAとソニー、ガーナでHIV/エイズ教育促進で共同プロジェクト実施 | マイナビニュース

2010年には、アフリカ大陸で初めてサッカーワールドカップが開催されることもあり、今後ますますアフリカへの注目が集まってくるはずですね。

 

日本とガーナの深~い関係

今回、ソニーとJICAがパブリックビューイングを行ったガーナは、実は日本ととても縁が深いんです。1,000円札に描かれている野口英世が晩年を黄熱病研究のために過ごしたのも、ガーナです。野口英世さんの功績が称えられ、日本政府によってガーナの首都アクラにあるガーナ大学に野口英世記念研究所が設立され、アフリカでの伝染病研究の中心的役割を果たしています。

でもやっぱり『ガーナと言ったら、チョコレート!』ですよね。

私たちにとって身近なチョコレートを通じて、カカオ生産地の現状を伝えたり、売上の一部が寄付にチョコレートを販売して、現地の子どもたちを危険な児童労働から守る「スマイル・ガーナ プロジェクト」を行っています。ぜひこちらの活動も応援よろしくお願いします!